入院難民になりやすい

■長期の入院は現在ではほぼ不可能

昔の映画やテレビドラマなどを見ると、遷延性意識障害の患者の病室で医者が「○○が目が覚めないで、もう2年も経つんだな。」と言ったようなセリフが言われるようなことがあります。

昔ならばともかく今の病院ではありえないセリフで、もしそれが可能なのであればその病院の経営者か、月に何百万円もの医療費が払えるほどのお金持ちでないと不可能です。

 

なぜならば、今の医療費制度では3ヶ月を超えて同じ病院に入院していると、病院に対する医療費報酬が減ってしまうため、どこの病院も3ヶ月で退院させようとするからです。

これは盲腸のような簡単な病気でも、遷延性意識障害のような重篤な症状の病気でも同じです。

 

そのため、遷延性意識障害の患者を抱える家族は、入院していても常に退院後に「別の病院に再入院する」か、「介護施設に入所させる」か、「自宅で介護する」かを選択する必要があります。

 

■再入院も介護施設も難しい

遷延性意識障害であると、日々の健康状態の管理はもちろん、排せつのお世話、点滴や胃ろうによる栄養の摂取、床ずれ防止のための体位の変換など、自宅介護をするにはハードルの高い問題が多くあります。

 

そのため、多くの遷延性意識障害の患者家族は、再入院先や介護施設を探すのですが、入院させてくれる病院はなかなか見つからず、継続的に預かってもらえる介護施設などでは入所待ち人数が多く「入所まで5年待ち」と言ったこともざらにあります。

 

そういったこともあり、自宅介護をされる遷延性意識障害の家族の方もいます。

自宅介護は大変であると言ったことに目が行きがちですが、病院にいるよりも刺激を受けて遷延性意識障害のレベルが改善した例もあり、デメリットではなくメリットがあると考える方も多くいらっしゃいます。

 

■自宅介護でのメリット・デメリット

病院から退院させて自宅介護をしている場合、介護の大変さはありますが、「毎日そばにいてあげられる」という、心の平安を得ることができるのが一番大きなメリットと言えます。

 

また、病院に入院している場合では、「ここの病院を3か月で退院させられたら、次はどこの病院に入院すればいいのだろう…。」という不安感がずっとありますが、自宅介護である場合にはそういった心配がありません。

 

自宅介護は、患者にとっても大きなメリットがあります。

転院を繰り返すということは、せっかく慣れた環境から初めての環境に変えてしまうということなので、あまり好ましいことではありません。

 

遷延性意識障害の場合には、「何をしても患者はわかっていないのでしょ?」と勘違いされている方も多くいますが、遷延性意識障害から回復された人の手記などを見ると、「目も見えて耳も聞こえているのだけれど、声も出せずに体も動かせなかったので、意思を伝えることが出来なかった。」と言うことがあります。

そのため、新しい環境に説明もなく変えられてしまうと、患者に対して良い影響がないこともあり得ます。

 

しかし、自宅介護であれば患者自身が住み慣れた環境に身を置くため、患者自身も安心していられるということになります。

 

ですが、家族の体調不良などで、患者の介護が十分にできなくなりそうな場合には、すぐには入院が出来ないデメリットがあります。

患者本人の体調が悪くなったなどであれば、医療機関に緊急入院することもできる場合もありますが、家族の持病が悪化したなどして主治医から入院を勧められたという場合であれば、患者の入院先を確保してからでないと、家族が入院できないということになります。

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