遷延性意識障害とは?
遷延性意識障害とは、重度の昏睡状態を指す病状のことで、俗にいう「植物状態」と言われるものです。
遷延性意識障害のおよそ半数が交通事故によるものとされています。
交通事故の場合、頭部外傷によるものがほとんどです。
遷延性意識障害は、交通事故の後遺障害の中でも、最も重篤な後遺障害だと言われています。
このホームページをご覧の皆様はご存知かもしれませんが、今一度、遷延性意識障害とはどのようなものかについて簡単に説明したいと思います。
遷延性意識障害の定義
遷延性意識障害の定義については、日本脳神経外科学会による定義(1976年)が一般的です。
日本脳神経外科学会による遷延性意識障害の定義は以下の通りです。
1. 自力移動ができない。
2. 自力摂食ができない。
3. し尿失禁がある。
4. 声を出しても意味のある発語ができない。
5. 簡単な命令には辛うじて応じることもできるが、意思疎通はほとんどできない。
6. 眼球は動いていても認識することはできない。
以上の6項目が、医療によっても改善されずに3カ月以上続いた場合
この定義は、遷延性意識障害の診断基準として医学的にも用いられることが多いようです。
遷延性意識障害の現状
遷延性意識障害について、国による全国調査が一度も行われておらず、患者数などの実態が定かではありません。
しかし、全国遷延性意識障害・家族の会によると、全国で5万6千人の疾患者がいると推測されています。
遷延性意識障害になられた方のご家族が実際に適正な賠償を得るためには、保険会社との交渉など多くのハードルがあり、証拠収集に関しても多大な労力を必要とします。
遷延性意識障害の原因
遷延性意識障害となる原因は、なんらかの理由により脳にダメージが受けることに起因しています。
交通事故などにより大きな衝撃を頭部に受けたため、遷延性意識障害になることもありますが、病気により遷延性意識障害となることも少なくありません。
脳溢血であったり、心臓麻痺など脳内の血流が止まることにより酸素が供給されず、脳細胞が死滅してしまうことが、病気による遷延性意識障害の原因の多くを占めています。
そのため、外傷性の遷延性意識障害の患者は若年齢の患者が多いのに比べて、病気を起因とする遷延性意識障害の患者は中高年齢者の患者の方が圧倒的に多くなっています。
遷延性意識障害の意思疎通方法
遷延性意識障害の場合、意思の疎通ができないとおもられる方が多いのですが、そうではありません。
遷延性意識障害では、こん睡状態が続いているのではなく、思考は正常である場合も見かけられます。
患者の中には脳波を測定すると、リラクゼーション音楽をかけている時にはアルファ波が出ていたり、乱暴で不愉快な言葉を聞いた時には興奮状態の脳波形状となったりと、周りは寝ていると思っていても、患者は周囲の状況を正しく認識していることが脳波からも分かった事例もあります。
そのため、遷延性意識障害の患者との意思疎通の方法には様々なものがあります。
まぶたの開閉によるものや、透明な五十音盤と視線を使ってのもの、指先のわずかな動きからパソコンを操作したり、中には簡単な単語であれば発することができる患者もいます。
患者により可能な意思疎通方法は大きく変わるため、日ごろから患者をよく観察し、患者が発するサインを見逃さないようにするのも、介護者にとっての義務とも言えます。
香川・高松の当事務所では、被害者とご家族のご負担をできる限り軽減し、適正な損害賠償を得られるように尽力いたします。
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