遷延性意識障害のリハビリについて
現時点では、香川・高松でも遷延性意識障害に対するリハビリ技術は確立されていません。
それは、遷延性意識障害の患者によって状態や状況が様々であるからです。
しかし、病院の看護師によるリハビリは、発症後から開始されています。
例えば、2時間おきの体位交換や歯磨きなどがあります。
このページでは、在宅あるいは病院での面会時に行われている具体的なリハビリ方法を紹介します。
家族による呼び掛け
呼び掛けというのはリハビリの基本とされています。もちろん患者様の反応を誘発するために行います。
またこの呼び掛ける文句として、単に名前を呼び掛けるだけよりも、具体的な呼び掛け(例:私が誰だかわかる?など)の方が、効果がみられるそうです。
さらに、患者様がYes/Noで応えられる質問をすると反応がみられることが多いようです。
なるべく大きな声でゆっくりと話しかけてあげてください。
光・音楽などの刺激
聴覚や視覚、嗅覚から刺激を与えるというものです。
例えば、右目、左目それぞれの前でペンライトをゆっくり動かしたり、2-3秒毎に点滅させたりするとよいでしょう。
また、音楽は、患者の好きな曲や効果音のようなものが適しているようです。
さらに、音楽も掛けっぱなしにするではなく、数分間聞かせ、停止したりしてメリハリをつけると、より刺激が与えられるとされています。
関節可動域訓練
関節拘縮の予防、関節可動域の維持や増大を目的として行われる他動療法のことです。
関節を動かさずにいると、関節の可動域が低下し、関節拘縮を引き起こしてしまいます。
具体的には、手首・指・ひじ・ひざ・足首・指・肩などを軽く曲げたり伸ばしたりします。
この時、無理に伸ばすと関節を痛めてしまい、かえって可動域の悪化を招く可能性があるので注意してください。
また、同時に足の指や土踏まずを押したり、筋肉を少し圧迫したりするのも効果的であるようです。
生命の危機にある間や、脳に炎症があり高熱のある間は、余り大きな音や強い刺激は避け、そっと包み込むような対応がよいでしょう。
一方、開眼などの反応がみられたら、ある程度の刺激(大きな音など)が必要とされています。
意識の無い人間に、何をしても無駄であると考えずに、とにかく話し掛け、音楽を聴かせ、体に触れ、外部から刺激を与えつづけましょう。
好きな匂いや思い出の香りを使う
嗅覚は五感の中でも、脳の原始的な部分で作用していて、記憶と直結していると言われます。
例えば、桜の花の香りを嗅いだ時、「春だな」と感じるだけでなく、「そういえば小学校の入学式の時は…」とつられて関連した記憶がよみがえるのは、香りが引き金となって記憶を呼び起こしているからです。
この際には、脳は活性化していますので、目に見えて動きがなくても脳にはとても良い刺激になっています。
そのため、愛用していた香水を軽く嗅がせてみたり、よく飲んでいたコーヒーを入れてみたりすると良いでしょう。
温冷の刺激を使う
遷延性意識障害の場合、麻痺をしている部分は温度を感じなくなると言った症状が出てくることがあります。
そのため、日常生活やリハビリなどでも、火傷や低温やけどをしないように気を配る必要があります。
しかし、遷延性意識障害の原因は頚椎や腰椎の神経の断裂や損傷であるため、首から下の感覚はなくとも首から上に関しては感覚が残っていることもあります。
そのため、「熱い・冷たい」と言った刺激を、首から上の部位に与えるリハビリを行うと良いです。
具体的には、温かいおしぼりや冷たいおしぼりで顔を拭いてあげたり、唇に人肌ぐらいの飲み物を入れた金属製のスプーンをあてたり、反対に冷たい氷を一瞬唇に当てたりと言った方法があります。
日常生活で見ていたテレビを見たり新聞記事を読む
遷延性意識障害になられた方は、事故によりいきなりこのような状況に変わってしまったことが多く、以前からすると180度違う生活になってしまっています。
少しでも、以前の生活を取り入れるために、日常生活で見ていたテレビを見たり、新聞記事を読んだりするようにしましょう。
もし、芸能人のファンであるのでしたら、その方が出ているテレビ番組を付けると良いかもしれません。
また、テレビ番組でしたら毎週同じ時間に始まりますし、新聞でしたら毎日同じような時間に読むことによって、一日の中で昼と夜とのメリハリがつきますので、患者に時間の概念を与えやすくなります。
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