積極損害

 積極損害とは、事故がなければ支払う必要がなかったにも関わらず、事故があったために「支払い」という積極的な損害が発生したものの事をいいます。

治療費や入院費、介護費用など、また、将来確実に発生する出費の事です。

 

治療費

基本的には、治療費や入院費については、必要かつ相当な範囲で実費全額が認められます。

ですが、治療費について全額が認められない場合もあります。

例えば、過剰診療(医学的な必要性、あるいは合理性が否定されてしまう診療)や高額医療(社会一般の診療費水準と比べ著しく高額な治療費である場合)などでは、治療費の一部が認められない事があります。

なお、交通事故の治療においても健康保険証を提示して、健康保険を利用することができます。

 

将来治療費(症状固定後)

症状固定後の治療費、将来の治療費などは原則的には認められてはいません。

ですが、遷延性意識障害と診断された場合、治療によって症状の悪化を防ぐなどの必要があると判断され、将来治療費が認められるケースが多いです。

具体的な目安として、ひと月20万円として、年間240万円程になるかと思われます。

将来治療費は、生存可能期間までの総額を請求することができます。

生存可能期間は、原則として平均余命年数に従います。

※平均余命とは、統計的に、何歳の方があと何年生きられるのかを算定した統計資料です。

 

介護費用

通常、医師の指示、受傷の部位、程度、被害者の年齢などから判断し、付添いが必要であれば、被害者は付添い看護に掛かる費用について請求できます。

遷延性意識障害と診断された場合、まず付添いが必要となりますので、請求できるでしょう。

いくら請求できるかについては、職業付添い人か近親者が付添ったのかによって異なってきます。

職業付添い人の場合、実費全額を請求することができます。

近親者による付添いの場合、1日あたり6,500円ほど請求できます。

 

将来介護費

症状固定後も介護が必要となる場合の介護費のことです。

※症状固定とは、治療を続けても大幅な回復が見込めないと診断された状態の事をいいます。

医師の指示によって必要とされた場合や、介護の必要な障害である場合に、将来の介護費用が損害賠償として認められます。

基準となる額としては、職業付添い人の場合、実費全額を請求することができます。

近親者による付添いの場合、1日あたり8,000円ほどが目安とされています。但し、この額は法律等で定めておらず、判例から算定されることが多いので、ケースによって増減することがあります。

将来治療費と同様に将来介護費も、生存可能期間までの総額を請求することができます。

生存可能期間は、原則として平均余命年数に従います。

※将来介護費は、1日あたりの金額としては小さな金額かもしれませんが、今後何十年もの間、毎日発生する金額です。ですから、合計すると非常に大きな金額になります。

 

その他

通院交通費(電車、バス、自家用車利用の実費、必要と認められればタクシー代)

弁護士費用(判決での認容額の10%)

自宅等改造費(家の出入り口、風呂場、トイレ、自動車の改造費等の実費相当額)

 

但し、本来なら将来に請求すべきものを現時点で請求するにあたって、中間利息の控除を行なう必要があります。

それは、今すぐもらえる500万円と1年後にもらえる500万円では、今すぐもらえるお金の方が価値が高いと考えられるためです。今すぐもらえる500万円は、銀行に預ければ利息が付き、1年後には500万円を超える金額になります。

例えば、将来治療費や将来介護費を算出する際には、ライプニッツ係数という係数が用いられます。これは、本来は非常に複雑な「将来発生する利息の割引」という計算を簡単な倍率で処理できるようにした優れた計算方法です。

 

もし、仮に余命に対する積極損害の保険金が1000万円とした場合、余命が1年ならば満額の1000万円が支払われます。

しかし、余命が10年と算定された場合は、10年のライプニッツ係数の7.72を利用した計算法で、772万円が支払われます。

 

「あれ?かなり少ないのでは?」と思われるかもしれませんが、ここに計算式の複雑さが出てきます。

 

平均余命が10年で必要となる積極損害の保険料が1000万円ならば、1年に必要となる金額は100万円です。

1年目に100万円を使った残りは662万円ですが、残りを銀行に預けるなどして年5%で運用したとすると、1年後には662万円×1.05=695.1万円になります。

2年目は、695.1万円から100万円を引いた595.1万円を5%で運用しますので、624万円になります。

 

このように、毎年100万円を引きながら、残りに関しては5%の複利計算となり、しかも10年ちょうどでなくなると言う、非常に複雑な計算方式が積極損害の保険金の計算に使われているのです。

 

つまり、長期間になればなるほど複利による利益が生じるため、初めの金額が少なくなることが分かります。

そのため、積極損害の保険金は算定した金額に対して、ライプニッツ係数をかけたものが支払われるため、予想した金額よりも大幅に少ないこともあります。

 

また、低金利時代で年利が5%で運用は難しいとの意見から、年利を3%としたライプニッツ係数を使用しようとの議論もありますが、損保会社の保険金の支払額の増額につながるため、保険会社からの激しい反対もあり適用されていません。

 

積極損害を保険会社に請求しようと考えておられているのならば、これらのことを念頭に置いて交渉することをお勧めします。

 

香川・高松で遷延性意識障害でお悩みの方は、当事務所までお問合せください。

 

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