患者様の平均余命と賠償金額の問題とは?

交通事故で神経を損傷して遷延性意識障害(植物状態)になった場合、保険会社と損害賠償金について話し合うことになります。

その際に、争点になることの一つに、遷延性意識障害の方の「余命年数」があります。

 

「一般の人の平均余命年数で考えるべきである」という考え方もありますが、遷延性意識障害の人は一般人の平均余命年数まで生存する蓋然性が低いという統計をもとに、「一般人より短い余命年数にするべきだ」という考え方もあります。

 

実際の判例から見る限り、一般人の平均余命年数と考える判例の方が多いのですが、一般人の平均余命年数よりも短縮して考えるべきであるという判例も出ているので、絶対とは言い切れません。

 

平成21年度の統計では、30歳男性の平均余命は50.37歳ですが、前年度より0.28歳余命が延びているように、日本人の平均余命は長寿化の傾向にあります

 

一方、遷延性意識障害の患者様の平均余命を一般の人の平均余命年数よりも短縮して考えるべきだという考えに従った場合、後遺症による逸失利益や将来の介護費用などを算定する際の計算式に使う平均余命の数字が小さくなり、賠償金額の減額となります。

 

このように、平均余命をどのように算出するかということは、損害賠償に大きな影響を与えるのです。

 

ある裁判では、遷延性意識障害となった20歳の男性の余命の計算が、保険金額算定の争点となりました。

加害者側の損保会社は以前の判例を用いて「余命は10年が妥当」との主張をしたのですが、裁判の判決は「余命は50年として計算するべき」と下されました。

これは男性が20歳と健康であったのに加え、医学の進歩により延命が可能との医師の所見があったことが大きな要因です。

 

また、遷延性意識障害となった57歳女性の場合、地裁では損保会社の主張を妥当として余命を7年との判決がおりましたが、高裁では平均余命である22年を認められるなど、逆転判決が出たケースもあります。

 

「遷延性意識障害の患者の余命は、平均余命とする」と言うのが、判例のスタンダードとなりつつあるのですが、これは患者の事故時の健康状態も左右されます

 

事故時に健康体であると認められれば、平均余命での主張をすることが出来ますが、がんや肝硬変、心臓病などの生命にかかわる持病があるのならば、余命を短く算定される可能性もあります

 

損保会社は基本的には「保険金は支払いたくない」というスタンスですので、初めから平均余命での保険金の算出をしてくることは皆無と言えます。

そのため、「遷延性意識障害となると、肺炎などの感染症になりやすいので余命は短い。」「体を動かすことが出来ないので、普通の人よりも体が弱っていくのが早い。」と、まことしやかに保険会社の担当者から言われると、「そうなのかもしれない」と思って安易に示談に応じてしまい、結果として10年・20年先に後悔することにもなりかねません

 

とはいえ、平均余命の算出は素人には難しいという面もありますので、医師による所見を仰ぐ方が良いと言えます。

 

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