遷延性意識障害の現状

香川・高松でも遷延性意識障害患者の方は、いくつかの医療機関を転々としたのち、在宅介護に落ち着くケースが多いのが現状です。

というのも、入院から3ヶ月を過ぎると、病院側から退院や転院を促されるからです。

また、福祉施設に入所を希望したとしても、爪切りなどの医療行為ができないために断られることも少なくありません。

こうして在宅介護に落ち着くのですが、在宅介護に移っても十分なサービスが受けられず、ご家族の方の負担が増えるのは必須でしょう。

 

このように、遷延性意識障害を取り巻く環境は医療・福祉において十分に整えられておらず、いくつかの問題点があるのが現状です。

現在、遷延性意識障害の患者様は、医療と福祉との間で置き去りにされている状況であるといえます。

そこで、医療・福祉の観点からそれぞれの問題点を説明します。

 

―医療機関の問題

 遷延性意識障害と診断されると、寝たきりとなって回復の見込みがない場合が多いのが現状です。

寝たきりの患者様を長期間置いてくれる病院は少ないため、長期入院を拒まれるか、退院や転院を促されてしまいます。

したがって、遷延性意識障害患者の方は、いくつかの医療機関を転々とするケースや、介護できるご家族がいる場合には、自宅で介護するというケースが多いのです。

 

・診療点数によって3か月もすれば転院を迫られる

「急性期は過ぎたので、長期療養型の病院への転院を考えてください」という趣旨のことを医療機関から言われた方もいらっしゃるのではないでしょうか。入院前に次の転院先を聞かれることもあるようです。

このように転院を勧められるのは、入院期間が90日を超えると健康保険の診療点数が下がってしまうことが原因です。つまり、現行の診療報酬の仕組みにおいては、入院から3ヶ月以降は病院の収入が減額になるということです。

したがって、入院が長引くほど、病院の経営が圧迫されます。病院も経営していかなければならないので、やむを得ず退院や転院を迫るのが現状です。

また、転院先に関しても、ご家族が介護しながら自力で探されなければならないことが多く、非常に苦労します。

 

・症状固定後の患者を長期間置いてくれない

遷延性意識障害の症状固定後の治療は、治癒が目的の治療ではなく、生命維持を目的とした治療が中心となります。リハビリ主体の長期療養型病院はほとんどありません。

そして、転院を勧められたために、次に転院できそうな病院に打診してみても「専門医がいない。」「遷延性意識障害の患者様は、荷が重過ぎる。」と断られることが多く、転院できてもすぐに、次の転院先を探す事を繰り返すことになります。

遷延性意識障害の患者様とご家族の中には、50か所以上の医療機関をあたっている方もおられます。

それでも、やはり自宅から近い病院を見つけるのは非常に難しく、全国の病院を転々としている状況です。

病院を点々とする生活は、何度繰り返しても慣れるものではなく、ご家族の負担は計り知れません。

 

 このように、患者様とご家族は治療・療養を安心して続けられず、落ち着く間のない状況にあります。

また、毎月の医療費の負担も軽くはなく、介護保険を利用して介護ヘルパーに頼りながら、自宅療養の道を選んでいきます。

 

-福祉の問題

遷延性意識障害の患者は、幼児から高齢者まで幅広くいるのが特徴です。

高齢者の場合は別の病気から発症すると言うこともありますが、多くの場合は交通事故や水泳時の飛込みの失敗、柔道やスキーなどでの事故など、いわゆる「不慮の事故」に起因するため、若年層などの比較的年齢の若い患者も多くいます。

 

・谷間の年齢層の福祉が充実していない

遷延性意識障害と認定された場合、医療や福祉制度を利用することとなるのですが、18歳未満であれば児童、65歳以上であれば高齢者と認定されるため、通常よりも手厚い制度を受けられることとなります。

 

しかし、1864歳の遷延性意識障害の患者であると、普通の障碍者として扱われるため、医療や福祉の恩恵が十分に受けられないと言うことになります。

例えば、息子が20歳でバイク事故にあい遷延性意識障害となった場合には、45年後まで手厚い保護を受けられるのを待つしかないと言った状況に陥ります。

そのため、介護者である両親も長期にわたる介護を覚悟せねばならず、常に将来の不安と闘っていることが多いです。

 

・受け入れ先の問題

遷延性意識障害の長期入所可能な施設は数が少なく、また何年もの入所待ちを覚悟しなければいけないこともあります。

遷延性意識障害の患者は、痰の吸引・食事介助・排せつ介助・床ずれの防止の体位変換など、患者にすべきケアが多くなるため、受け入れに消極的な施設が多数を占めます。

施設側としても「遷延性意識障害の患者よりも軽度の痴呆患者の方が、医療報酬が変わらず世話も楽だから。」と言う理由や、「通常よりも医療事故が起こりやすいので、リスクを減らしたい。」と、一概に入所施設だけの問題ではなく、医療や福祉制度が遷延性意識障害の患者の実情に沿ったものでないことが起因しています。

 

 

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